こんにちは。水口結貴です。
今日は、マティスの切り絵「ジャズ」シリーズを紹介します。

マティス切り絵(故人ブログコピペ)20161022



※画像は「エム・ケイ・ワン株式会社」より

アンリ・マティス(1869年-1954年)は、フランスの画家で、一般には「フォーヴィスム(野獣派)」の代表格とも言われています。しかし「フォーヴィスム(野獣派)」としての活動は、1905年から3年間ほどと、実は生涯の中でも非常に短い期間に限られています。

1917年にニースに移った後の作風は、「静かで心地よい」ものに変わりました。
実は、マティスは「私は人々を癒す肘掛け椅子のような絵を描きたい」と語り、フォービストと呼ばれるのを嫌っていた、とも言われています。

マティスは1898年に結婚しますが、1939年には離婚してます。
さらに悪いことは続くというのでしょうか、1941年に十二指腸癌になり、車椅子での生活になってしまいました。

晩年の、不自由な体になったマティスの世話をしたのが、リディア・ディレクトルスカヤです。彼女は、かつてマティスのモデルでもありました。

晩年のマティスは、こうした健康上の理由から絵筆を使うことが難しくなっていました。
代わりに、というのでしょうか。ガッシュで着色した紙をはさみで切り抜く「切り絵」という新しい手法に到達します。切り絵の制作には、リディアの助けを借りていました。

そして生まれたのが一連の「ジャズ」シリーズ、です。

私はこれらの作品たちを初めて見たとき、「止まっているはずの絵」が「まるで、今にもリズムをとって動きだしそう」、「踊り出しそう」と思ったのでした。
それほど、これらの作品たちは「絵」という「静物」でありながら、「生命の躍動感」や「リズム」、「音」を感じさせるものだったからです。

80歳を超えていたにも関わらず、こうした作品を産み出したマティス。

私にとって、マティスの「ジャズ」シリーズは「人間の持つ生命力」の素晴らしさ、そのパワーの大きさ・強さを突き付けるものになりました。