こんにちは。水口結貴です。

今日は、マグリットの「大家族」を紹介します。


daikazoku(うつのみや)20161014




※画像は「宇都宮美術館」より。

マグリットは、ベルギーのシュールレアリスムの画家です。

●母親の死が作為品に影響を与えている、とも

マグリットが13歳だった1912年、母がサンブル川に身を投げて自殺してしまいます。母の遺体は、2週間ほど経ってからようやく発見されました。発見された場所は数マイもル離れた河川敷でした。
しかも発見された母は裸体で、「身につけていたガウンが顔に巻きついていた」とも言われています。
少年にとっては衝撃的な出来事が、マグリットの作品に大きな影響を与えた、と言われています。

●青いリンゴ

マグリットは「青いリンゴ」を作品の中で多用しました。これらの「青いリンゴ」は、「見えるものと見えないものの葛藤」の意味だ、と言われているようです。
また、「ザ・ビートルズ」のレコード会社、アップルのトレードマークとなった「青リンゴ」のモチーフは、元をただせばマグリットが描いていたものだったようです。

●アトリエを持たなかった

彼は他の作家のように「アトリエ」を持つことはなく、自宅の台所の片隅にイーゼルを立てて制作していたようです。

●「大家族」は「宇都宮美術館」が所蔵

この世界的に有名な作品「大家族」を所蔵しているのが、日本の宇都宮美術館です。
1996年に同館は、「大家族」を当時の価格で「600万ドル(約6億円)」で購入しました。

当時は、一公立美術館が負担する金額として妥当なのか?と、様々な意見が出たようです。
しかし、どの作品(美術品)にも言えることですが、単に「売価(取得金額)」の多寡ではなく、作品が持っている本質的な価値や作品を収蔵(取得)することで発生する「観光効果」にも考慮した方が良いのかもしれません。


私は、初めてこの絵を見たとき「本来なら描かれている嵐(荒波)の音」を感じてもいいはずなのに、それ以上に中心の「鳥の形に切り取られた青空」が嵐(荒波)を圧倒している、そして、圧倒的な「静けさ」を感じて、少し混乱した記憶があります。

後日、この「青空の鳩」は「戦場から妻を心配しながら平和を祈って描いたもの」ということなどを知り、「大家族」という「ネーミングの妙」というか「奥深さ」に気づかされました。