こんにちは。水口結貴です。

今回は、マネの「笛を吹く少年」を紹介します。

マネ笛を吹く少年(wikiコピペ920160917

「笛を吹く少年」(1866年  オルセー美術館) ※画像は「ウィキペディア」から転載


この絵はとても有名で、美術の教科書などにも載っているようですから、ご存じの方も多いかもしれません。

マネは、日本の浮世絵に触発され、明るい色彩と陰影を抑えた平板な空間表現を西洋絵画に導入しました。
マネは「写実主義」の画家ですが、その手法は「印象派」だけでなく「表現主義」の誕生にも影響を与えています。

●抑えた色数は「日本の版画」からの影響

この作品の特徴として、まず「使っている色数」を制限している、しぼっている」ことが挙げられます。
具体的に言うと、色数は「黒、白、赤、黄、茶」だけ。そこに「少年の肌色」が追加されている。それだけです。

これも、日本版画から取り入れた重要な特徴と言えるでしょう。

●モデルは、マネの息子?

この作品は、通説ではマネの友人の「軍隊高官が連れて来た近衛軍鼓笛隊員」ということです。
しかし、一説によれば「顔」だけは、「マネの息子」を描いた、という説もあるようです。

モデルが「息子」なら、この作品に漂う「あどけなさ」や、生き生きと大きな瞳を見開く様子、を描写できた理由もわかります。

私は、初めてこの作品を見たとき、「どう? 僕は上手に吹けているでしょう?」といった「得意気」な様子、それと一緒に「ねぇ、僕は上手に吹けている?」といった「不安」な様子。

「相反するメッセージ」をこの絵から受けて、混乱してしまったのでした。