こんにちは。水口結貴です。

今回は、ロートレックの「ル・ディヴァン・ジャポネ」を紹介します。

この作品は、当時パリで流行していたカフェ・コンセールのためのポスターです。

モンマルトル周辺には様々な見世物を行うカフェ・コンセール(コンサートカフェ)が人気で、特に有名だったのは「シャノワール(黒猫)」という店でした。

19世紀になると、パリは凱旋門を中心に都市整備が行われていきます。
そして世紀末から20世紀にかけて、消費の拡大、各種産業の発展などが理由となって、キャバレーや舞台を持つカフェ、サーカス小屋などが数多く生まれました。
こうして、華やかな文化が起こります。

こうした享楽的な時代は「ベル・エポック(美しき時代)」と呼ばれています。
ロートレックは、パリのモンマルトル界隈を拠点として活躍しました。そして現代でも通用するような「ポスター」を描き、都会的なセンスを発揮して「ベル・エポック」を体現した人気画家です。


ロートレックル・ディヴァン・ジャポネ(wikコピペ)20160910



  1893年 79.0×60.0cm  紙、多色石版 ※画像はwikipediaより転載


この作品は,同名の有名なキャバレーのポスターです。

中央の黒いドレスの女性が人気の踊り子ジャヌ・アヴリル、その後ろの片眼鏡の男性が音楽評論家のエドゥワール・デュジャルダンとされています。

中ほどにはオーケストラが描かれています。そして奥に描かれている女性は、黒い手袋がトレード・マークだった歌手のイヴェット・ギルベール、とされています。

画面を斜めに横切るオーケストラ・ボックス、陰影のない色、浅い奥行きなど「浮世絵」の影響が強く見られる作品です。

私は、最初にこの絵を見たとき、「現実的にはありえない縮尺」や「構図」だったにも関わらず、そんな細かいことがどうでもよくなるくらい「絵の持つ雰囲気」に呑まれました。

自分がまるで「19世紀末の劇場」にいるよう。
バックのオーケストラの音や舞台で何が行われているのか? が気になって仕方がなくなりました。

私はまるで、中心に描かれている黒衣の女性の「隣に座って、舞台をのぞきこんでいる」。
実際に、「舞台を見て、オーケストラの音楽を聞いている」。そんな臨用感に襲われたのでした。