こんにちは。水口結貴です。
今日は、フェルメールの「青衣の女」(もしくは「手紙を読む青衣の女」)をご紹介します。
(1665年ごろ オランダ:アムステルダム国立美術館) ※画像はwikipediaより転載
ヨハネス・フェルメールは、17世紀のオランダ絵画を代表する画家の一人と言えるでしょう。
また彼の作品は「30数点しか現存しない」とも言われていて、その「希少性」も相まって、とても人気の高い画家です。
描かれている女性は、お腹が大きく膨らんでいて妊娠しているように見えます。
ただし学説上では定説はないようで、この服装は「当時、オランダで流行していた」という説を多くの研究者などが唱えているようです。
●読んでいる手紙は、誰から?
全体の構成や女性が読んでいる手紙の内容を推察しようする研究も行われてきました。
そして、ネーデルラントの地図が壁にかかっていることから、「旅行中の夫が妻に出した手紙」である、という説があるほか、前のテーブルに置いてある箱のそばに「真珠」(※)が見えることから「恋人からの手紙」だ、とも言われています。
※真珠は「虚栄心」や「自惚れ」の象徴として描かれる場合がある
●高価な「ラピスラズリ」を使った「フェルメール・ブルー」
フェルメールの特徴の1つとして「青」の多用がある、と言われています。
この「青」い絵具は、宝石の1つ「ラピスラズリ」が原料でした。ラピスラズリは、顔料や岩絵具として古くから使われていました。
アフガニスタン産のラピスラズリが品質が良かったため、需要がありました。宝石は「海路で運ばれた」ので「海を越えて運ばれる青」という意味で「ウルトラマリン」と呼ばれたのです。
フェルメールは、この「ウルトラマン・ブルー」を惜しげもなく使いました。
それだが理由ではないでしょうが、フェルメールは莫大な借金を残して亡くなっています。
私は、この作品を初めて見たとき、とっさに「海の上(船中)にいる夫からの手紙」を読んでいる、そして「妊娠している妻」だ、と思ったのでした。
お腹が目立つほど大きくなってきたのに、頼りになる夫がそばにいない。それどころか、遠い異国で「事故」にも遭うかもしれない「船に乗っている」。描かれている女性の不安や心配。その深さを感じて、見入ってしまいました。
私にとって、この作品は「メランコリア(憂鬱)」を「体現している」もの、となりました。
コメント