こんにちは。今日は、グスタフ・クリムト(1862-1918)の「接吻」です。
1907-08(ウィーン・オーストリア美術館) ※画像は「自由に気まま生活」より転載
クリムトはエジプト美術と日本の「琳派」から影響を受けて「金」を多く使い、印象的な作品を多く生み出しました。
実は、クリムトの父親は「彫金師」でした。こんなことも彼の作風に影響を与えているのかもしれません。
クリムトは14歳のとき(1876年)ウィーン美術工芸学校に入学して、「彫刻師」そして「彫金師」になります。
そして、1907年に代表作「接吻」を発表しました。
この作品のモデルは「クリムトとエミーリエ・フレーゲ」という女性と言われています。
クリムトは生涯独身でしたが、多くのモデルと愛人関係にあって、婚外子も存在しています。
そんな中でも、クリムトはエミーリエを「ミューズ」・特別な存在として「女神的に扱った」、と言われています。
クリムトの描く女性は、独特のファッションを身につけていますが、これらの服はクリムトがデザインしたものです。
エミーリエ・フレーゲは、こうした服をクリムトと一緒にデザインをしただけでなくモデルにもなり、そして販売もしていました。
「接吻」は、男女の恋愛の幸せの絶調を表現している、と言われています。
一方で、女性の足もとは地面が切れていて、まるで崖のようになっています。
「崖下」は「死の世界」を表現していて、恋人たちの「幸福の絶頂=愛」と「死の世界」の対比を1枚の絵で象徴している、という説もあるようです。
クリムトは数十年にも渡って、エミーリエと手紙をやり取りしました。
彼は「死」を迎えるその時、子供でもなく、他の女性でもなく「エミーリエを呼んでくれ」と言った、と言われています。
そして、エミーリエはクリムトの死後、それまでクリムトからもらっていた全ての手紙を燃やしその後、一生独身で過ごした、ということです。
私は、この絵を最初に見たとき、まず「金色」に目を奪われました。
そして、女性の表情に魅了されました。
満ち足りていて、安心していて、幸福そう。
こんな幸せそうな女性像をほかに知らなかったからです。
一方で、言いようのない「不安」も感じました。
明確な言葉ではありませんが、「こんな瞬間がいつまで続くのか?」と感じたのかもしれません。
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