こんにちは。水口結貴です。
今回は、オディロン・ルドンの「花の中のオフィーリア」を紹介します。
※画像は「名画館」より
ルドンは、フランス象徴主義を代表する画家です。
●「黒」の表現と奇怪なモチーフ
そのキャリアの初期には、木炭とリトグラフを使い「黒」による表現を極めようとしてました。
「黒」という色だけで、怪物や首、眼球など、印象深い「一目見たら忘れられない」ような作品を発表していきます。
●突然、色彩豊かな絵に
ところが何が原因だったのか、ルドンは1890年頃から突然、豊かで多彩な「色」を使った絵画を描いていきます。これらの絵画も、ルドンの「イメージ」が強烈に表現されています。
●花の中のオフィーリア
オフィーリアは、有名なイギリスの劇作家シェイクスピアの戯曲「ハムレット」の登場人物です。
父親の命令でハムレットのプロポーズを断ります。するとハムレットは、オフィーリアに非常に冷たい仕打ちをします。
それに加えて、父親の非業の死も重なって錯乱状態なってしまいました。そして水死してしまいます。
若さと美貌と純潔。死の悲劇性、ドラマティックさから、多数の作家が物語に絵画にオフィーリアをモチーフにしてきました。
ルドンの作品では、オフィーリアは右下に小さめに描かれています。
何より作品の中心となっているのは、彩り豊かに描かれた「花」です。
私は、この絵を初めて見た時、オフィーリアがまだ気が狂ってはいないのではないか?と思ったのでした。
感じたのは「悲しみ」だけでした。
愛してた男(ハムレット)の、理解できない行動。冷たい仕打ち。
それをどう、とらえていいのかわからない「混乱」と「悲しみ」。
でも、眼の前の花は誇らしげに、美しく咲き誇っている。
これは、オフィーリアが絶望、悲しみの中にありながら、まだ「花」としての自分を信じ、
ハムレットと幸せな日々を過ごせるのではないか?と期待していたことの表現なのではないか?と思いました。
この上ない悲しみ。
同時に、これ以上ない期待。
相反する気もちを表現しているようで、忘れられない1枚になりました。
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