こんにちは。水口結貴です。

今回は、ウィリアム・ブレイクの「巨大な赤い龍と太陽の衣をまとった女」(ブルックリン美術館 蔵)です。

ブレイク赤い衣とまとった女と竜2(個人ブログコピペ)20170319


※画像は「徒然の日記」より


ブレイクは絵の才能と同時に詩人でもありました。また、ブレイク自身が「ビジョン」と呼んでいた幻視の能力がありました。

彼の作品は、こうした彼独自の「宗教的なヴィジョン」に基づいていたようです。

例えば、ブレイクがわずか7歳のとき、すでに宗教的な幻想を見たという伝説が残されています。
この幻視の能力を使って、ブレイクは聖書だけでなく、ダンテなどの作品を独自に解釈して、数々の挿絵を残しました。

イングランドには、「これ」と決まった国歌はありません。
しかし、国歌の一つとして現在使われているものは、ブレイクの「ミルトン」の中の「エルサレム」という詞にパリーが曲をつけたもの、とされています。
こうしたこともあってか、イギリスではブレイクという作家はよく知られており、人気も高いようです。

今日、紹介する絵は「黙示録」の中にある、次の文章からイメージされているようです。

「また、大いなるしるしが天に現れた。ひとりの女が太陽を着て、足の下に月を踏み、その頭に十二の星の冠をかぶっていた」(ヨハネの黙示録 12-1)
「この女は子を宿しており、産みの苦しみと悩みとのために、泣き叫んでいた」(同 12-2)
「また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、大きな、赤い龍がいた。それに七つの頭と十の角とがあり、その頭に七つの冠をかぶっていた」(同 12-3)

この文章が何を意味しているのかは、正直わかりません。
しかし、この絵を初めて見たとき、まるで本当に世界を揺るがすような大きな災害(災い)が起こるような、逆に、巨大なたとえようもなく神々しいものが現れるような、そんな気がして忘れられない1枚になりました。

因みに、ブレイクの最後の言葉は「自分は人間としてではなく、祝福された天使として死んでいくのだ」、ということだったそうです。